蘭の栽培は雨に当てないよう屋根付きの栽培場で育てるように栽培書には書かれていますが、今は亡き恵蘭の有名な栽培者に直接うかがった話として、「自然界の草木や野菜は雨に当たったあと、生き生きとすばらしい生長をする。蘭も自然の水をほしがっている。雨の恵みにあずからせてやりたいので、生長のはじめに被覆を取ってしっかり雨に当てている。病気なんか出ません。」ということでした。
春蘭、寒蘭の一部は春から秋は屋外で雨に当てて栽培していますが(場所がない)、それほど困ったことは起きないようです(寒蘭のハモグリバエ被害が課題)。少々大雨が降ってもそれで病気が出たり、根腐れが多発したりということもないようです。
エビネの一部も防虫網の張ってある雨の当たる外の棚においてあるのですが、なんとこれが毎年生育が良く、花も力強く咲くのです。地植えにした株も良い花を咲かせますね。光条件の違いもありそうですが雨水の力もあるかも?
外棚の「岩屋素月」 しっかりした咲き方です。内棚よりずっと良い咲き方でした。
長年雨除け下で大切に栽培してきた株の中には、もっと良い色だったのにさっぱり色が出なくなったという株があります。昔は青紫だったのに青みを失って赤っぽくなったように感じる株もあります。微量要素や金属イオンなどの欠乏か株自体の寿命なのか全くわかりませんが、土壌と水にヒントがあるかもしれないと思ってきました。
アジサイの花の青は、酸性土壌でアルミニウムイオンがアントシアン色素に作用することで青く発色すると聞いたことがあります。ミョウバンはアルミニウムを含んでいるので水で薄めてやってみたらどうかな(まだやっていません)。
(ここからは余りにもアホな話、くれぐれまねされませんように)ずいぶん昔、サツマなどの色彩の優れた銘品は鉱山に近いところの産が多いという話(真偽不明)を伺ったりして、鉱山跡のずっしりした石ころや、銅の代わりに10円玉をおいたり(ナメクジ除けのまじないをかねて)、金属破片を混ぜたり、海塩を極く薄めて与えたりもしましたがさっぱり効果は感じられません?でした。
栽培しにくい株を水苔植えにして無肥料栽培したら元気になったということはありました。ニオイエビネと水苔は相性が良いように感じています。
気休めに雨水を溜めて、長年栽培してきた古い自然種などに与えたりもしますが効果はわかりません。特に南方からやってくる熱帯低気圧がらみの雨水を与えたくなります。もっとじっくりしみわたるように雨に打たせてやろうかとも考えていますが、単なるエビネの受難に終わるかもしれません。
エビネ栽培は中長期的に考えれば、まだまだ常識のウソ、非常識のホントがあるように思えてなりません。