エビネは趣味者や業者の間でいろいろな見方、区別の方法により、個体への品種(銘品)表示がなされ取引されています。しかし、交雑種の場合、交配親の素性が明らかでないまま何代も交雑が進むと血統がわからなくなってしまいます。
1990年代は交配育種が業者だけでなく個人レベルでも相当行われ、多くの交配品種が生まれた時代だったと思います。このころ、交配種と称するより自然種という方が評価が高かった?ためか、交配種のコオズやサツマなどを自然種と偽って販売しているのではという話も聞きました。真偽はわかりませんし、事実を知っている当事者しか知らないことですが、いまだにそのころの交配種が自然種として扱われているものもありそうです。自然種だといわれれば否定できる証拠はないのでそのまま通用している状態だと思っています。いまさらどうしようもありませんが、近ごろは交雑種が正しく表示され、評価されるようになったと思います。
ランの人工交配種の登録制度としては、世界の基準となっている 英王立園芸協会のサンダーズ・リストがあり、エビネの国際的な発展のためには、きちっとしたルールに基づく登録が必要であると思われます。これに基づく登録を進める努力もされていますが、日本のエビネの現状では、原種の品種?や自然種にまでさかのぼれる交配品種ばかりではないように思いますし、信頼できる記録がない品種では、残念ながらすでにこのような登録が不能なものもあると思われ、また、これまでの慣習からこうした登録方法に違和感を持っておられる人もあり、バラバラの状態のままと思います。
美しく、珍しい交配種は後世のためにも血統がわかる交配記録や原種株の保存は大切だと思いますし、採取地や由来なども記録しておきたいと思います。もはや交配親を秘密にしておく必要もないでしょうし、それを知っての後追い交配は多分あまりしないでしょう。
血統の記録があってこそ遺伝資源として次の時代に伝えることができる品種だと思っています。
栽培者はそれぞれに独自のお考えをお持ちでしょうし、こんなことを書いていたら炎上してしまうかもしれませんが、井中の蛙の戯言として聞き流してください。不都合な、しかし解明しようのない事実にこれ以上踏み込むつもりもありません。
自然交雑種 暖流
かなり古いコオズ。倍数体?種子ができにくい。少し色濃く映っています