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蘭亭白木蓮

ブログをはじめました。 周りの心配をよそに衝動的に船出してしまいました。 定年退職しましたが元気に仕事を続けています。                   はるか昔、小学校理科の時間、ヘチマの種まきに胸をワクワクさせ、中高生の頃は家のベランダで大輪朝顔やぶどう、熱帯果樹の鉢栽培にチャレンジ、さらに学生時代には農学部で花卉園芸をかじり、就職、結婚して仕事に励みながらエビネなどの蘭を心のオアシスとして40年以上育ててきました。                          これまで歩んできた道筋を今一度たどりなおして、心新たに楽しみを深めていきたいと思っています。                                     庭の片隅に白木蓮の木があります。その傍らに自作の小蘭亭があり、蘭たちからの叱咤激励の声を聞きながら、これからも日々歩みを進めていきます。          コメントは大歓迎ですが、生来の筆不精、頂戴したらその返信を書くのに考え込んでしまう不器用、時代おくれのオッサンです。多分、返信はようせんと思います。   ブログ本文の中でお答えできたらと思っています。 失礼の段、くれぐれお許し願います。(画像、文の転載はご遠慮願います。2017.7.23)

ニオイエビネという種

現物を前にして検索表をみますと、ニオイエビネとジエビネの 違いは簡単にわかるのですが、ニオイエビネとジエビネとの交雑種のコオズは検索表ではわかりません。何代もさかのぼった世代で自然交雑してできたコオズの株が、その後ニオイエビネと何代も交雑してできた株はコオズには違いないでしょうが、見かけ上はほとんどニオイエビネと区別がつかないかもしれません。色彩や花弁、舌、距などの形態にジエビネのかすかな面影を残しているような場合はニオイエビネ系、ニオイエビネ系コオズ、コオズ系などと、その場のいろいろな都合や見方、慣習で表現がなされてきたようです。
 
私が20年以上前に行った交配(♀ニオイエビネ×♂サツマ)によるF1(ニオイエビネ率50%)では、変異はありますが明確にニオイエビネといえるような個体は見られませんでした 。ニオイエビネ(♀)にさらにこのF1(♂)を交配したF2(ニオイエビネ率75%)では、ニオイエビネらしくはなってきますが、まだ交雑種とわかる株が多かったです(下の画像参照)。
 

上記説明のF2(ニオイ率75%)の例1
ニオイエビネらしさは出ているが誰が見ても交雑種
 

上記説明のF2(ニオイ率75%)の例2 かなりニオイエビネらしさが見えるが一見して交雑種
上下の画像の交配♂親(F1)は同じ交配から生まれましたが形態はかなり異なっていました
 
結論としては1/4くらい他のエビネの血を持つ株(75%ニオイ)では、ニオイエビネと比べると明らかに交雑種の形が残っているように感じました。出回っているわずかにコオズっぽいニオイエビネ?はニオイエビネの血がかなり濃い(85%以上?)のではないかと思われます(あくまで推測)。
 
巷で御蔵島産ニオイエビネといわれている品種の中にはコオズなども含まれていそうですが、花弁の整った濃色でバランスのよい株を人気の高いニオイエビネの優品として扱いたい願望によって、表示されているものもあるのではと考えています。結局、外見上の特徴をよく観察し、自分で総合的に判断するしかないと思います。
ただ明らかな交配コオズを用いた交配から生まれたニオイエビネ似の株を黙って自然種ニオイエビネと表示したりすれば、これは明らかに偽りです。しかし一方で、全くの原種のように見えるニオイエビネが純粋のニオイエビネである証明もまたできないことと思います。
もはや大衆化した園芸植物の世界のこととして、美しさ、珍しさを作る人が楽しみ、厳密な種の区分表示を求めないのであればどちらでもいいことになってしまい、流通や取引のされ方によって血統への必要性が異なるのかもしれません。親の血統をさかのぼれない大変美しい交配種もたくさんありますが、親のはっきりしない交配種(かなりの数作っていますが)は交配親として使いにくいと感じています(いくらか使っていますが)。
原種は大切にしたいと考えていますし、原種の持つ野性味は好きです。
 
御蔵島にはニオイエビネの自生が多かったと聞きますが、形態にばらつきがあり、島内にわずかに産するジエビネやキリシマエビネの血が薄く拡散し(これらの原種も雑種化?)、外見上わからない程度の雑種となっているものもあるのではないかと思います。その結果、現在見られるバラエティが発現したり、交雑による雑種強勢によって繁殖力の維持に役立っているのかもしれません。しかし、自然種であったという確かな事実は大切なこととと思います。
 

  自然種ニオイエビネ(無銘85-01) 少し交雑種の可能性?
   
あまり面白くもない話ですみませんでしたが、長年思ってきたことですので、ご容赦願います。
DNAによる品種識別が、一般的な手法として普及するようになれば、もっと明確な種の区分、判別ができるのでしょうが、必要性の高い植物から手がけられているものの、エビネではまだまだの状況にあるようです。
いずれにしても植物分類学的な種の区分とは離れたところで、売買の都合や流行の反映など人為的指向によって、東洋蘭がたどってきたような独自の評価の仕方、品種表示がなされるようになっており、結局は趣味の方々は自分なりに納得して対処されるしかないと思っていますし、現状に対して批判するつもりなど全くありません。育種をされる方は記録を正確に残し、公表できるようにしておきたいと思います。いくら良い花でも血統がわからないと育種親として評価されなくなるかもしれません???。
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