ニオイエビネ、ジエビネの形態的違いに着目し、ニオイエビネの交雑育種が進む中、雑種性を検討をするための参考として、かつて作成したものです。すべてに当てはめることは困難で例外もあると思いますが、基本的には今でも概ねあっていると思います。これは私の考えを整理したものですので、異論もあると思います。
区 分 ニオイエビネ コオズ ジエビネ
葉
枚数 2(時に3) 3 3
厚さ 厚、剛直(艶強) 中間(艶有) 薄(艶なし)
葉持ち 3~5年 2~3年 1~2年
根
本数 少 中間 多
太さ 太く弱い 中間 細く強い
花
花序 密咲ヒヤシンス咲 中間(品種差大) 花間良
花茎 中~太 中間 細
花色 淡桃~藤紫、稀に白 中間(濃色有) 茶~赤(稀に緑)
花型 反転咲、花弁先尖 中間(落ち着き) 平開咲
花粉塊 白小 白黄小~中 黄中
舌
色 白 白~淡桃、紅、紫 白~桃、赤紅
形 屋根型 屋根型~平型 平型
側裂片 大~やせ形 中間(まれに特大) いろいろ
中裂片隆起線 弱く1本 1~3本(先端突起) 3本明瞭隆起
中裂片先端 小尖~小楔型2裂 2裂が多い 2裂
香り
強さ 強 ジンチョウゲ香 中間 強弱有 弱~中
質 強くきつい やや甘い香り 個体差
距 (画像参照)
形態 極長細斜上跳ね上げ 中~長 下垂、わん曲 短 下方わん曲
増殖 不良、1芽/年 普通1~2芽/年 良 W芽多い
バルブ、根腐りやすい 中間 丈夫
バック芽吹きにくい 中間 バック吹き易
参考画像
自然種ニオイエビネ(無銘87-01)
反転咲 舌中裂片小さく尖 隆起線1本で弱い 原種型
自然交雑種コオズ 日光
舌中裂片先端発達2裂 隆起線3本明瞭 距 やや長、下方にわん曲

自然種
ジエビネ 岩屋素月 舌中裂片先端大きく発達2裂 隆起線3本明瞭 距 下に湾曲
(参考)原種型ニオイエビネ:一番上のニオイエビネ画像
ジエビネとニオイエビネの形態的特徴、差異に着目(特に舌と中裂片)して、ジエビネの特徴、形が見えない原種タイプのニオイエビネを、純度が高いものとして原種型ニオイエビネ(仮称)としました。
①舌(唇弁)
中裂片がやせ形で先が発達せずわずかに尖るか小さく2裂(豊満で片の先端が発達し、大きく
2裂するもの、先端に紫をにじませるものはコオズの可能性)
隆起線の中央のみがはっきりしており他の2本は不明瞭(隆起線3本が認められ隆起線の上に
突起があるものはコオズの可能性)
②距は子房より長く先に向かって跳ね上げる形(距が短い、下垂、下方へ湾曲するものはコオズ
の可能性。直線的に長く上方へ伸びるものはスイショウの可能性)
③花弁に丸みがあり、色に濁りやくすみがあるものはコオズの可能性
無銘コオズ
花弁丸み、受け舌、中裂片先端発達し大きく2裂、隆起線上に突起。距はやや短くやや下向き