蘭にとって温度も大きな環境要因です。最高最低温度計は必須です。精度の良いものが安く売られているので2個くらいあった方が便利です(注意:水をかけると壊れます)。
最高最低温度計
最高最低温度と記録した時刻が表示できます。コード先のセンサーで2か所の気温が測定でき便利です。防水機能はないので水をかけないこと
大きな課題は、夏の高温と冬の低温です。
小屋内の夏は屋根の熱で高温になります。外気温が35℃にもなると小屋内はもっと高温になって厳しい環境になり、蘭にとって過酷な環境になります。気温分布は床と栽培棚では2℃以上高く、屋根に近づくにつれ数℃高くなります。屋根は高いところで2m70cmで、もっと高くしたかったのですが自力施工では限界でした。屋根の高いところと低いところでは照度も温度も違います。今年から温度上昇を抑えながら暗くならない遮光資材のクールホワイト(見かけは明るいが遮光率65%)を屋根の上50cmくらいに張ってみましたが、栽培棚の上は外気温+1.5℃くらいまでで、温度抑制効果はかなりありそうです。
近年の酷暑から株の保護を考える場合、被覆資材の工夫と合わせて、真夏はやや照度を落とし、通風を確保することと潅水時刻の工夫、気化熱の利用をセットにしています。
気温は夏も冬も明け方、日の出前が最低になり、夏の最高気温は午後3~4時ごろに出ることが多く、潅水は夏は夜遅くか早朝に、棚下までしっかりと。冬は暖かい日の午前中(月2回くらいで十分)にやっています。
冬の保温は夏の高温に比べれば楽だと思っています。加温用電気ヒーターは持っていますが通常は無加温です。棚の下に取り込んで棚上からすっぽりビニルをかけ、棚上に発泡スチロール板を載せて棚上部からの放熱を防ぎますが、低温にならない日は側面を開放して通風を確保しています。ある程度湿度を保ちながら寒風には当てないようにしていますが、あまり温度変化をつけないように管理しています。無加温で外気温が-5℃近くまで下がった時でも棚下は-2℃くらいに保てました。
暖かい室内に置いてあった鉢をいきなり凍るような環境に出せば障害が起きるのは当たり前で、自然環境の中において徐々に寒さに慣らしていけばかなり耐えると思われます。また冬の間、暖かい室内に置くと、早く芽が動き出し、2~3月頃に開花してしまうことがあり、生育サイクルが狂ってしまうので、適当な寒さに当てて冬を越す方がよいと思います。寒さに当てた方が花色がよくなるという話がありましたが、確証は持てません。ただ、花時の強光は花の色が飛んでしまうことがありますので注意します。
ニオイエビネの自生地、御蔵島は海に囲まれているためか意外にも夏涼しく、冬温暖で雨量が多い気象条件です。氷点下になることは珍しいようですが、栽培しているニオイエビネはどれくらいの低温に耐えられるのでしょうか。
これまでの経験では品種差がかなりあって-2℃くらいで葉先が傷むものもありますが、ほとんどは-3℃くらいには(低温、凍結が長く続かなければ)耐えるようです。一度-5℃の低温にあわせてみましたが、問題なく開花しました(品種差はかなり大きいと思います)コオズはニオイエビネより相当強いように思います。あまりこのような実験はなさらない方がよいと思います。